三菱自動車が倒産した場合の日産自動車への影響を考察
三菱自動車が現在窮地に追い込まれているのはご存知の通りです。
現在のところ三菱自動車や日産自動車から具体的な補償額や今後の対策については発表されていません。
そんな中、「三菱自動車が倒産」について話題になっていますので、もしそうなった場合の日産自動車への影響を考察してみたいと思います。
三菱自動車の特殊性とこれまでの不祥事
三菱自動車は以上にも度重なるリコール隠しが発覚し、社会的信用を失いました。
リコールに関する費用も膨大な額となり、経営状況は悪化し、三菱自動車単独での立て直しは難しくなりました。
しかし、三菱自動車は他の自動車メーカーとは違います。
三菱自動車以外の自動車メーカーは自動車やバイクを製造・販売しているメーカーです。
一方、三菱自動車は三菱グループの一部門の扱いです。
三菱グループ自体が旧財閥企業であることもあり、三菱自動車は大企業でありながら三菱グループの中で見ると決して大きな組織ではありません。
前回のリコール隠しの時は、親会社である三菱グループやメインバンク等からの援助もあり倒産を免れましたが、今回はどうなるでしょうか?
三菱自動車の企業としての体力はこの10年で随分回復してきたと思われますが、今回の燃費不正が与えるダメージは計り知れません。
今新聞等で言われている
- 購入者への燃料に関する保障
- OEM先である日産への保障
- 対象車の買取に応じる場合の買取保障
など
これだけでも数千億円の損失が見込まれているようです。
でも実際には、これだけで済まないかもしれません。
新聞や雑誌では「倒産」という声もでています。
というのも、今までなら三菱グループが支援を申し出て倒産は回避するという流れが既定路線でしたが、今回はそうならない風向きとの噂があるからです。
その理由は、親会社を取り巻くマーケットの悪化などが影響していることと、学習能力のない子会社である三菱自動車にグループ企業があきれているというのが理由のようです。
ここで、もし三菱自動車が倒産した場合、三菱自動車だけでなくOEMで自動車を提供してもらっている日産自動車への影響を考えてみましょう。
日産自動車への影響
現在、日産自動車は三菱自動車の「eKワゴン」「eKスペース」をOEMで供給を受けており、「デイズ」と「デイズルークス」として販売しています。
日産自動車としても販売実績が良好だっただけに、今回の不正による販売停止は大打撃です。
軽自動車は利幅自体が低いため、乗用車と比べると業績への影響はそれほど大きくはないでしょう。
しかし、既に三菱自動車は「eKワゴン」「eKスペース」の生産及び販売を停止しており、日産自動車でも「デイズ」と「デイズルークス」の販売をやめています。
この影響は三菱自動車においては、軽自動車を製造している工場ではラインが稼働停止となり、従業員約1300名は自宅待機とのことです。
更に5/2時点では賃金カットの交渉中と報道されています。
日産自動車については大きな報道はされていませんが、「デイズ」と「デイズルークス」の製造・販売に携わっている従業員は仕事が減っているはずです。
このままでは余剰人員となり、リストラに発展するかもしれません。
日産自動車に関しては、次期「デイズ」と「デイズルークス」に関しては日産自動車が主導権を持って開発を進めると言われていましたが、これも大きな影響を受けるはずです。
というのも、デザインや基本的な部分の設計を日産自動車が担ったとしても、エンジン開発やパッケージングに関しては三菱の担当だったと思うからです。
日産自動車が主導権をもつなら、「全て日産自動車が開発すればいいじゃん」と思うかもしれませんが、そうはいきません。
あのトヨタですら軽自動車は自社開発せず、ダイハツを配下に入れたくらい軽自動車の開発は難しいのです。
今の日本の自動車産業にあって軽自動車は販売台数が多く、是非とも商品ラインナップに入れたい分野ですが、一方で、売れても利幅は小さいところがネックです。
それでいて、販売台数が多いということは製造・販売に携わる人の数もそれなりに多くなります。
今回のように三菱自動車、日産自動車の両社で4車種の販売がなくなるということは、新たな仕事が増えない限りリストラは避けられないことになると予測します。
最後はいつも一般従業員が泣きを見ます
今回の不正問題も降って湧いたような事件でした。
ほんの一ヶ月前には全く予測すらされていませんでした。
それが、一つのニュースを境に多くの従業員の雇用が危ぶまれる事態に陥っています。
恐ろしい現実です。
役員など経営幹部が辞職したとしても、贅沢さえしなければ家庭の生計に大きな影響は与えないでしょう。
しかし、一般従業員は違います。
賃金カットが行われるということは賞与もカットされる。
最悪支給されなくなるかもしれません。
そのような事態になると住宅ローンは払えなくなり、子供の教育費への影響も大きいはずです。
もしリストラが実施されるようなことがあれば、生活自体が脅かされます。
先日のシャープの買収問題も同じですが、最近は大手企業であってもあっけなく経営が傾くようなことが少なくありません。
そんな時、一番に影響を受けるのは一般従業員です。
それもリストラ対象となる40代以上の社員は死活問題です。
このような不測事態はいつ自分の身に降りかかるかわからない時代です。
平和な時こそ、不測事態への準備が必要だと感じる今日このごろです。
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