任天堂 ポケモンGOで大復活!株価も上昇!恐るべき底力
任天堂が息を吹き返しました。
昨年は岩田前社長が急逝し、落ち込んだ業績はどるのだろうと危惧されていましたが、そこに飛び込んできたのが任天堂の株価が急騰しているとのニュースです。
任天堂の最近の業績の推移を確認し、なぜ業績悪化に陥ったのか、また、ポケモンGOの市場投入で考えられるメリットだけでなくデメリットになりえるリスクについても見ていきます。
任天堂の近年の業績はどうだった?
任天堂と言えば、創業当初の商品は『花札』。
花札から始めた事業ですが、これまで成長と衰退を繰り返しながら今日のような大企業に成長しています。
任天堂が成長するキッカケはゲーム事業への参入でしょう。
1980年の『ゲームウォッチ』を市場に投入した際には大きなインパクトを残しました。
それは販売台数をみてもわかります。
ゲームウォッチの販売台数はなんと4800万台以上とのことで、それもたった8年間の間にです。
しかし、ゲームに関しては技術の発展とともにプラットフォームが変化するため世界中を巻き込んだ大ブームが起こったと思っても長続きしません。
任天堂も同じで業績は下降線をだどります。
しかし、任天堂の強みはマーケティング力ですね。
その後大ブームとなった『ドンキーコング』を開発し再度ブレークします。
その後、
- ゲームボーイ
- ファミコン
- スーパーファミコン
というゲームのインフラともいえるハードウエアを商品化と対応ソフトを市場に投入することで業績は急上昇していきます。
しかし、2007年と2014年の業績推移を見てみると、どれほど任天堂の業績が悪化したのかが見て取れます。
決算年度 | 売上高 | 営業利益 | 最終損益 |
---|---|---|---|
2007年度 | 約1兆円 | 約2200億円 | 約1800億円 |
2014年度 | 約5717億円 | 約▲464億円 | 約▲232億円 |
売上高は2007年度の約半分、営業利益及び最終損益に関しては約▲400億円、約▲200億円の赤字に転じています。
そして、2016年度に入りポケモンGOの投入で一気に業績は上昇に転じそうな情勢となってきました。
次は、任天堂はなぜこれほどまでの業績悪化を招いてしまったのかについて見ていきたいと思います。
任天堂が業績悪化に陥った要因
任天堂がこれほどまでに業績を悪化させてしまった原因ですが、『成功体験』が原因だと推測します。
企業経営を行っていく時、弱みを強くするよりも、強みを伸ばす方が良いと言われます。
ただ、経営は生き物なので、環境の変化に対して敏感でなければなりません。
今調子が良い事業も、外部環境の変化で一気に業績は変わってしまいます。
任天堂はこれまで大ヒット商品を多く生み出しています。
先の業績推移をみても2007年度には約1兆円もの売上高を生み出していました。
しかし、それからたった7年で売上は半減、利益に至っては赤字転落です。
なにがあったのでしょうか?
任天堂は2007年以降、2011年に『ニンテンドー3DS』を発売、翌2012年には『Wii U』を発売しました。
しかし、この時既に大きな環境の変化が起きていました。
それは、ゲームのメインプラットフォームがスマホに変わりつつあったことです。
当時のスマホはハードウエアの性能が今ほどでなかったことでソフトウエアの質も決して良いとわいえませんでした。
しかし、音楽も同じですが、若者を中心に生活の中心にスマホがあることが当たり前で、スマホで全てを満たす流れが起きていたのです。
それから3年あまりでスマホのハードウエア性能は格段の成長をとげ、ハードウエアの成長に沿ってソフトウエアの品質は向上していきます。
この流れで当初はスマホのおまけ程度の位置づけだったゲームが、商品として成り立つようなゲームとなります。
スマホゲームで成長してきたDeNAなどは当初から無料アプリとしてのゲームを提供することで、その後にある広告収入へとつなげる戦略を地道に進めていました。
そして、スマホゲーム全盛の今というわけです。
一方の任天堂はというと、
多くの収益をもたらしていた独自のゲーム機をもっていることで、世間の流れてあるスマホ対応ゲーム市場への参入が遅れることになります。
任天堂の業績が急上昇した時と同様、スマホゲームも一気に成長し業績を向上させていきましたが、スマホ対応ゲーム市場への参入が遅れた任天堂の業績は一気に悪化したというわけです。
しかし、流石に任天堂でした。
スマホゲーム市場でこれほどまでにインパクトを与えたものはないといえる『ポケモンGO』の投入です。
2016年7月18日現在は日本では発表、配信されていませんが、海外ではとんでもない現象を作り出しています。
この現象を受けて株価や利益にも大きな影響が出ているようです。
ポケモンGOの市場投入による株価と利益への影響
既にポケモンGOが海外において市場投入され、大人気であることはお伝えしました。
このポケモンGOの人気から株式市場にも影響が出ています。
2016年7月15日の株価を見てみましょう。
任天堂のこの日の株価の終値は「27780円」。
現実の7月14日からなんと2480円高です。
ちなみに、一週間前の7月7日はというと「14935円」ですから、一週間で「12845円」値上がりしたことになります。
7月7日比1.86倍の値上がりです。
一部の株式評論家の見方としては、年内で5万円台に突入し、数年のスパンでみると7万円台も可能との見方です。
では、任天堂の中でもポケモンGOと関係の深い関連株はどのようになっているのかを見てみましょう。
任天堂 ポケモンGO関連株への影響は?
ポケモンGOの人気による任天堂の株価が上昇することを受け、ポケモンGOの関連企業の株価にも大きな影響が出ているようですので見てみましょう。
ポケモンGO関連株としては11銘柄がよく取り上げられていますが、それぞれどのような動きをしているかを見てみましょう。
(2016年7月15日現在)
企業名 | 株価 | 8日比 |
---|---|---|
サノヤスHD | 437円 | 276円高 |
ディー・エヌ・エー | 2678円 | 236円高 |
京都銀行 | 814円 | 234円高 |
第一屋製パン | 122円 | 5円高 |
モバイルファクトリー | 4700円 | 2110円高 |
タカラトミー | 943円 | 64円高 |
アキレス | 140円 | 16円高 |
イマジカロボットHD | 753円 | 293円高 |
コロプラ | 2212円 | 224円高 |
AppBank | 1400円 | 650円高 |
フジ・メディア・HD | 1331円 | 221円高 |
以上、軒並み株価は上昇しているみたいですね。
ただ、この状態がいつまで続くのかはわかりませんが、現在の株価は過剰気味という声もあるようです。
関連株の中に「アキレス」が入っていたので、なぜなのか調べてみると面白いことを発見。
アキレスといえば靴メーカーですね。
ポケモンGOというゲームはゲームのプレーヤーを歩かせるゲームであるため、靴の需要が高まるとみて株価に反映されているとのこと。
多くの靴メーカーの中からアキレスが選ばれたのはアキレス社が子供向けの靴製造に強いからとのことでした。
任天堂 ポケモンGOの課金収入見込
ポケモンGO自体は無料のアプリです。
しかし、スマホゲームは基本的に無料のゲームが多いですが、企業としては見返りがなければソフトウエアの開発費も回収できませんので企業経営が成り立たなくなります。
しかし、企業側の戦略としてスマホゲームアプリは無料で提供するものの、ゲームをプレイする上で必要となるアイテムを有料で販売することで利益を見込んでいます。
実際、ポケモンGOも市場に投入されてからそれほど多くの日数は経過していませんが、既に多くの課金収入が計上されているようです。
アメリカでは7月6日に配信が始まったポケモンGOですが、一日当たりの課金収入は約1.6億円にものぼるとのことです。
これはアメリカの一日の収入ですので、全世界で配信が行われた場合の課金収入はとんでもない数字になりそうですね。
ちなみに任天堂の昨年度の純利益は「165億円」に対し2016年度の純利益見通しは「350億円」とのことですが、この数字はポケモンGOのヒットを見込んだ数字ではないとのことです。
大手証券会社の予測では、課金収入による純利益の押上効果は「250億円」程度見込めるとのことで、合計すると2016年度の純利益予測としては「約400億円」が見込めるのではないかとのみかたもあります。
ポケモンGOのダウンロード数
7月6日からアメリカではポケモンGOが配信開始となったわけですが、どれ位のダウンロード数があったのでしょうか?
日経新聞によると、7月13日現在で750万ダウンロードとのことです。配信から一週間も立たずにこの数です。
OS別で見てみると、iPhoneのOSであるiOSが「220万件」、GoogleのAndroidOSが「550万件」とのことです。
これから全世界で配信が開始されるとどれほどのダウンロード数になるのか気になりますね。
ポケモンGOの日本への投入(配信)はいつ?
これだけ人気のポケモンGOですが7月18日現在、日本では配信が開始されていませんし、正式な配信予定も発表されていません。
しかし、『間もなく』と言われているので7月中には配信されるのではないかと言われています。
というのも、日本以外の主要国は7月16日までに配信が完了しており、7月16日だけをみても26カ国で配信がスタートしました。
既に海外でダウンロードをされた来日客の方は日本で配信されていないことを残念がっているインタビューを見ました。
日本の街でポケモンを捕獲したかったようです。
ポケモンGOってどのように遊ぶの?
ここまでポケモンGOがもたらす企業側のメリットを中心に見てきましたが、『ところで、ポケモンGOってどのように遊ぶの?』をテーマに見ていきたいと思います。
ポケモンGOは従来のスマホゲームのようにスマホだけ会ったらプレイ出来るというゲームではありません。
どういうことかと言うと、舞台は現実世界だからです。
とはいっても、スマホを現実世界に向けると、現実の風景の中にポケモンが映しだされるので、プレイヤーは実際の街を歩きポケモンを探すという行動が必要になります。
だから、スマホはGPSを常に稼働させておく必要があります。
また、街なかで他のプレイヤーと会った場合は交流を行ったりもできます。
ゲームの基本的な遊び方は、街に出てポケモンGOアプリを越しに街なかを見ることで、ポケモンを見つけ、捕まえたり、交換したり、バトルしたりということを行います。
また、アイテムを購入することで武器を増やしたりして強くなることが出来るようになっています。
このあたりは、他のスマホゲームと同じモデルですね。
ポケモンGOが原因の事故例
ポケモンGOは実際の街なかを歩き、スマホ越しにポケモンを探すゲームだということをお伝えしましたが、このゲームの特徴が事故につながるケースが報告されています。
特に『交通事故』。
起きるべきして起きた事故という感じですね。
人が街なかをスマホ越しに歩くことを前提にしたゲームです。
実際、既に配信が開始された海外では、崖に落ちたという報告や歩行者が止まっている車にぶつかったという事故も報告されています。
また、歩くことがイヤになった人たちは自転車に乗りながらポケモンを探したり、中には車を運転しながらポケモンGOをプレイする人もいるとのことです。
人は楽しいことだと夢中になり注意力が散漫になります。
これから、ポケモンGOが更に流行ることで事故件数も増えそうですね。
ポケモンGOの日本版配信で考えられるリスク
今後、日本でもポケモンGOが配信されます。
その際、どのようなリスクが考えられるかを予測してみたいと思います。
日本では、歩きスマホや自転車を運転しながらのながらスマホが問題になっています。
当然、交通事故にもつながっているわけです。
今回、日本でポケモンGOの配信が開始されることで、今以上にながらスマホが増えると考えます。
そんな時に心配になるのが、ポケモンGOのプレイヤーではなく、車やバイクなどのドライバーです。
日本では弱い者を守るルールのもと、交通事故に関しても明らかに歩行者や自転車が悪い場合でも車やバイクの運転手に過失があると判断されてきました。
これは自分がドライバーの立場で考えるととても腹立たしいことです。
ドライバーが細心の注意をはらって運転していても、ながら運転の自転車がぶつかって怪我をしたり、車が凹んだりした場合、歩行者が被害者扱いされることになり、治療費や慰謝料などを請求されることもあります。
今回のポケモンGOの登場により、現在でもマナーがなっていない人が多い中、どうなるのだろうと心配になります。
日本だけでなく、世界中であまりにも事故が増えた場合には企業側になんらかの対策が求められることもあるのではないでしょうか。
ポケモンGOの日本版配信で考えられるビジネスチャンス
ポケモンGOが日本で配信されることにより、新しいビジネスも生まれると考えられます。
ただこれは、ポケモンGOが特別だというわけではないですね。
どのスマホにも共通とするキーワードがあります。
それは『課金』です。
ゲームのプレイヤーは、高いステージにたどり着きたいとの思いから強くなりたいと考えます。
その結果、有料のアイテム購入を選択します。
まあ、これがスマホゲームを運営している会社のキャッシュポイントになるわけです。
また、攻略本なども発売されたりするでしょう。
今回のポケモンGOは街を歩くことで強くなると言われています。
だから、実際に足を使って歩かなければなりません。
とはいっても、外出したり歩くことが嫌いな方もいるわけです。
このような悩みが生まれるとビジネスになるわけです。
『代行ビジネス』ですね。
既に韓国ではゲームのプレイヤーに代わって街を歩く代行ビジネスが行われているようです。
ネットビジネスとして見た場合も十分ビジネスになります。
ゲームアプリのサイトを開設し、その中で強くなる方法を教えます。
しかし、プレイヤーには資金がありません。
資金がなくてもアイテム購入費用を用立てる方法として、ポイントサイトのアフィリエイトを行うわけです。
ポケモンGOのような人気ゲームだと競争も激しいでしょうが、ビジネスとして十分な稼ぎが見込めるでしょう。
ゲームに見るビジネスインパクト
日本でのマンガ文化は海外でも通用するほど大きな市場となっています。
日本のマンガが海外で販売されるときは、主人公の名前やタイトルは変更されることが多く、当然セリフも現地語に変更されます。
しかし、日本の音楽は世界という大きな市場を見た時、どうしても言葉の壁でセールスにつながりませんが、マンガは違います。
今回ご紹介しているゲームもマンガと同じく、世界を舞台にしたセールスが期待出来る分野です。
マンガと比較しても修正点が少ないのも制作費の面からもゲームにメリットがありますね。
また、スマホという世界共通のプラットフォームを活用できるのもビジネスに対して大きなインパクトを与えます。
iOSとAndroidOSの2つのOSを意識すれば全世界を相手にしたビジネスが可能となります。
今回、任天堂が今までのスマホゲームの概念を変えるようなインパクトのあるスマホゲームを開発したわけですが、1年後どこまで成長しているのか注目して見ていきたいと思います。
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